履歴時間の長いエネルギ-植物の環境要因の変化に対する応答を調べるためには気温、湿度およびガス農度を各々独立に調節できる「人工気象装置」を必要とする。すでに、本学では特殊空調室が設備されているので、その中に対象植物を導入する枠組みを組み立てた。更に、暗室である特殊空調室内で照度を制御するために、陽光ランプを取り付けた。植物生体情報の計測の際、計測による生体への影響を極力、避けなければならない。また、計測の変化量は非常に小さく、他からのノイズを受けやすい。このような特徴をもつ植物生体情報の計測に適する感度が高くかつ非接触の測定器を選択した。茎径の測定には歪ゲ-ジ式変位計、葉温の測定には放射温度計を使用した。これらのデ-タ-はパソコンで記録し・処理した。 エネルギ-植物の中で、葉と幹がはっきり分かれていて、体内水分の動態の解析が比較的容易で、かつ、センサ-が取り付けやすい構造をしているのはユ-カリである。特殊空調室に入る程度の鉢植えのユ-カリが望ましいが、入手に時間を要したため、本年度はホンコンカポックおよび青桐を測定対象とした。 特殊空調室内において、外部環境の急変に対する上記植物の応答を計測した。すなわち、他の外部条件を一定に維持しておいて、照度だけをステップ状に変化させたときの茎径、葉温、蒸散量の経時変化を測定した。次に、温度だけを、その次には湿度だけを変化させて同様な特性を採った。その時間変化が指数関数的ならば、時定数を、振動分を含むならばその周期を求めた。
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