平成2年度の研究実施計画は、夏季雷と冬季雷の雷鳴観測および雷鳴解析と雷放電路の再現であった。夏季雷の観則では、3個のマイクロホンでの同時観測に失敗し雷放電路を再現するには至らなかったが、夏季雷の支配的周波数は100Hz程度でありロケット誘雷による冬季近距離雷鳴に比べて低いことが明らかになった。平成3年度に富士山5合目で雷鳴を観測するために現地調査を行い、新5合目の売店の屋上にマイクロホンを設置させて頂く了解を得た。また、静岡地方気象台の雷情報提供の協力も得た。冬季雷の観測ではロケット誘雷実験に参加し、奥獅子吼でのロケット誘雷による雷鳴と標高約600mの獅子吼高原で2個のマイクロホンにより自然雷の雷鳴観測に成功した。また、石川高専の協力で、冬季自然雷の平地での雷鳴観測に成功した。これらの冬季雷については現在デ-タの解析中である。 今年度の主な研究業績は、音響再現法の再現精度をマイクロホンの配置形状との関係から明らかにした。音源の位置に無関係に再現精度を上げるには、4個のマイクロホンを座標の原点と各座標軸上の等距離Dの位置に設置する。音響信号をAD変換する際のサンプリング分解能をΔSとすると、比分解能は2√<3>ΔS/D以下になる。標定誤差を1%以下にするには、マイクロホンの配置位置を誤差要因にならないように正確に測定するのと、マイクロホン間隔5mではサンプリング時間を85μs以下にする必要がある。また大気条件による誤差は風速3m/s以上の風では標定位置を風向きにより補正する必要があることを明らかにした。
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