1.沼津の夏季雷と石川県の津幡と獅子吼高原の冬季雷で観測した23例の雷鳴から、次の点を明らかにした。 (1)雷鳴は最初に大きな音が達した後徐々に弱くなるタイプA、弱い音が徐々に強くなりまた徐々に弱くなるタイプB、それに雷鳴がほとんど途絶えた後また大きな音が繰り返すタイプCの3種類に分類できる。 (2)平地で観測した10例の冬季雷雷鳴の平均継続時間は20秒である。タイプCの雷鳴は冬季雷で観測され、30秒を越える継続時間の長い雷鳴が多い。 (3)雷鳴の平均卓越周波数は140Hzである。主放電路までの距離が5Km以下の近距離雷鳴の平均は150Hzであるが、卓越周波数は伝搬距離と共に低下して5Km以上の遠距離雷鳴の平均は67Hzになる。 2.自然雷の雷鳴から雷放電路を再現するのに次の方法が有効であることを示した。 (1)相関解析する時間窓の長さを雷鳴波形に対応させるのにゼロレベル交差回数を指定して決定する。 (2)多重雷の雷鳴では支配的な雷鳴を形成する放電時刻を使用して再現する。 3.サンプリング時間とマイクロホン配置の形状から音響再現法の位置分解能を明らかにした。4個のマイクロホンを座標の原点と各座標軸上の等距離Dの位置に設置して観測した雷鳴から再現すると、分解能が向上し伝搬距離に対する分解能は、音源の位置に無関係に2√3△s/D以下(△s:サンプリング分解能)になる。 4.冬季雷の雷鳴から雷放電路を再現して次の点を明らかにした。 (1)タイプCの雷鳴には多地点同時雷撃雷が含まれている。 (2)雷放電路の中心高度は1.5から2Kmと低く、水平方向に15Km以上伸びる雷放電路が存在する。
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