研究概要 |
(1)マスク・アライメント装置等の微細加工装置を用いて各種の寸法の微小開口部を設けた電極基板を作り,種々の厚みのスペ-サ及び誘電異方性が正又は負の液晶を用いて,垂直・平行・又はハイブリッド配向の液晶セルを作製した.これらの液晶セルに電圧を加えて液晶分子の再配向効果による軸対称状の屈折率分布を作り,液晶による微小レンズを構成し,その光学的諸特性,すなわち透過光強度の集光特性や発散特性等の空間分布特性を測定した.その結果,誘電異方性が正の液晶の場合には,低電圧印加時には凸レンズ特性が得られ,高電圧で焦点距離が長くなり凹レンズに変わること,一方誘電異方性が負の液晶の場合には低電圧印加時に凹レンズ特性が得られ,高電圧印加時に凸レンズ特性となることが確認された.さらに,液晶分子配向をハイブリッドとすることにより,液晶分子の配向の乱れが解消されて優れた特性のレンズとすることができた. (2)これらの微小レンズを多数含む液晶素子を作製し,その光学的諸特性について測定を行った結果,微小レンズの配列をランダムすることにより優れた光学特性を有する素子を構成することができた. (3)(1)項と同様に,マスク・アライメント装置等を用いて微小電極を有する電圧可変形の屈折率分布特性をもつ液晶光導波路を作製した.この素子に電圧を印加し,導波路内の光伝搬特性を測定した結果,電極近傍での屈折率変化の大きな領域で大きな光偏向効果が得られ,印加電圧を可変することで偏向角を連続的に制御することができた. (4)有限要素法により微小レンズ部の電界分布に基づく液晶分子の配向分布すなわち屈折率の空間分布特性についてシミュレ-ションを行った結果,これまで得られている実験結果を矛盾なく説明することができた.
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