研究概要 |
本年度は、分散超微粒子とバインダ-の屈折率の整合により分散膜における光散乱を低減することを主な課題として研究を行い、以下の成果を得た。 1.微粒子形状の改善 バインダ-中に微粒子を分散させる場合、多くの空孔を持つ不定形の微粒子ではバインダ-との境界に空気の泡が取り残され易く、これが光散乱の原因となる。これを改善するため、共沈法とフラックス焼成法を組み合わせて(Bi,Dy)_3(Fe,Al)_5O_<12>超微粒子を作製した。これらの粒子は比較的良好な形状を有しているが、通常の方法により作製したものに比べ、補償組成のAl高置換側へのシフトおよび保磁力の低下が起こることを明かにした。 2.高屈折率バインダ-の探査 機能性を有する分散酸化物微粒子は一般に屈折率が高く、分散膜における光散乱を低減するためにはこれに整合する高い屈折率を持つバインダ-が必要となる。本研究では固化後も高い屈折率を持つと考えられるBi_2O_3系とTiO_2ーSiO_2系材料を取り上げ、バインダ-特性、および(Bi,Dy)_3(Fe,Al)_5O_<12>超微粒子をそれらの分散した分散膜の試作と特性評価を行った。Bi_2O_3系では、塗布乾燥後、比較的低い熱処理温度で酸化物となるナフテン酸Biを原料としたバインダ-が使用できるが、固化後の硬度が小さいために粒子に十分な応力が働かず分散膜の保磁力は非常に小さいことを明らかにした。一方、TiO_2ーSiO_2系では、TiおよびSi系アルコラ-トを主体にゲル化調整剤としてポリエチレングリコ-ルを添加したバインダ-溶液を用いることにより、固化後も硬く屈折率の高い膜を得ることができることを示した。また、これらの分散膜は比較的大きな保磁力を持つことを明らかにした。
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