室温で任意の形状に形成できる超微粒子分散光機能性薄膜を作製することを最終目的とした本研究において、本年度は主に前年度からの課題である分散膜中における光損失の低減のため高屈折率バインダーの探査及び分散膜の形成法自体の見直しを行い、以下の結果を得た。 1.高屈折率バインダーとして、共沈法で作製したガーネット微粒子の屈折率(2.2〜2.4)に近い値を持つカルコゲンガラスTeO_2が有望であることを新たに見い出した。 2.光の波長より十分小さな数nm程度の微粒子を分散させ、バインダーに依らず光損失を低減する方法として、新たに、数nmと粒径の小さな共沈物の状態でバインダー中に分散させ、塗布後、熱処理し結晶化させることを行った。これにより、従来の方法に比べ光散乱の少ないものが得られることが明かとなった。また、超微粒子とバインダーを同時に蒸着法またはスパッタ法で基板上に堆積し、熱処理または熱処理無しに微粒子分散膜を得ることを検討し、屈折率の大きなカルコゲン化合物をSiO_2中に分散させた具体的実験より、微粒子径が数nm程度ならば全く光散乱を起こさないことを明らかにした。
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