研究概要 |
高効率薄膜大腸電池用材料であるセレン化銅インジウム(CuInSe_2,CIS)に用いられているCdS/CISヘテロ接合に代わる、環境汚染の無い新しいヘテロ接合としてSnO_2/CISヘテロ接合の作成および基礎的評価を行った。 一般にSnO_2は、常圧CVD法で550℃以上の高温で作成される為、CISの熱変成が問題となる。本研究で採用したプラズマCVD法によるSnO_2の作成は初めての試みであり、低温成長の可能性がある。 まず、プラズマCVD装置は、サムコインタ-ナショナル社製PBー1型の反応室部分を本研究経費により購入し、高周波電源、整合装置、ガス配管系を自作することにより組み立てた。 SnO_2の原料である、Arに飽和したテトラブチル錫(TBT)と酸素の混合ガスを、1Torrに減圧された反応室に供給した。まず、ガラスを基板とし、成長条件(電極間距離、高周波電力、基板温度、TBT温度、酸素流量)とSnO_2薄膜の特性(膜厚,X線回折特性,光透過特性,電子濃度,電子移動度)との関係を明らかにした。基板温度350℃、高周波電力80W、TBT温度140℃、TBT温度140℃、Ar流量120ml/分、酸素流量100ml/分、で良質の多結晶SnO_2薄膜が成長した。高周波放電を用いない場合、成長が観られないことから、プラズマが原料ガスの分解および成長に有効であることがわかった。 以上の結果に基づき、SnO_2/CISヘテロ接合ダイオ-ドを試作した。このダイオ-ドは、整流性を示したが、光起電力は得られなかった。この原因の一つとして、CVD開始時におけるCIS表面の酸化が考えられる。今後、これらの問題点を解決すると共に、ITO、ZnO、aーSiとのヘテロ接合によるCIS太陽電池の研究を継続する予定である。
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