研究概要 |
移動通信に利用できる周波数帯が限られていることから,移動通信系においては,周波数の有効利用がより重要な課題となっている。これに対応する技術としてセルラ-方式があり,この方式では各セルにチャネルをいかに効率良く割当てるかが周波数の有効利用にとって大切である。チャネルの効率良い。割当方法にダイナミックチャネル割当法がある。ところが,このチャネルの割当法はチャネルの割当に極めて計算量がかかり,短時間に実行するのが難しかった。 本研究はこの間題をニュ-ラルネットワ-クを用いて高速に解く方法の開発を行うことを目的とする。 昨年度は、(1)チャネル割当問題に対するエネルギ-関数の導出,(2)初期値(定数)の決定,(3)誤り検出法の考察,について研究を行ってきた。本年度は,(4)ホップフィ-ルド形ニュ-ラルネットのエネルギ-関数の改良,(5)コンピュ-タシミュレ-ション,(6)サ-ビスエリアの一部の領域へのダイナミックチャネル割当の適用及びその部分に対するニュ-ラルネットの適用,について研究を行った。一般にサ-ビスエリアに一様に呼が発生するのではなく,一部のエリアに呼が集中することがある。このような場合には呼量に応じて,チャネル割当アルゴリズムを変える必要である。本年度は,サ-ビスエリア全体でなく,一部にダイナミックチャネル割当法を適用し,他のエリアは固定チャネル割当法を行う方式を提案し,そのダイナミックチャネル割当法に対してニュ-ラルネットを適用することについて研究を行い,それが可能性であることの見通しを得た。 以上のように,ニュ-ラルネットワ-クを移動通信のダイナミックチャネル割当に適用する方式の提案と,その有効性についての研究を行い,その基礎研究として目的は達成された。
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