研究概要 |
1.ヘッドホンの校正 6種類のヘッドホンについて高圧チャンバを用いて1atm空気中と4,10,20,30,40,50atmのヘリウム酸素混合気体中において人工耳B&K4153で校正した。その結果,YAMAHAのHPー1の特性が圧力に対して比較的穏やかに変化するので2.のダイバ-の聴覚特性を測定するのに用いた。なお,オ-ジオメ-タに付属するヘッドホンADー02は高圧ヘリウム空気混合気体中で周波数特性に大きな山谷が現われそれが気圧の変化とともに移動するので高圧での聴力検査用としては不向きであることがわかった。 2.ダイバ-の最小可聴閾と等感度曲線 海洋科学技術センタで行われた潜水模擬実験に参加して,0〜270mの13の深度で検査した。またそのときの騒音を高圧ヘリウム空気混合気体で特性を測定してあるコンデンサマイクロホンでデジタルオ-ディオテ-プに録音した。その結果,最小可聴閾はチャンバ内の騒音(約60dB)とほぼ同じ値となり正確な閾値は求められていないことがわかった。ただし,ヘッドホンを校正し聴力検査を行い,また騒音を校正した結果がほぼ同じ値になったことはこの校正法が正しく,チャンバ内の騒音を下げることができれば高圧中でも正確な聴力検査ができることを示している。等感度曲線についてはチャンバ内の騒音が大きかったため,1000Hzの基準音の大きさは81dBで行った。その結果,どの深度においてもほぼ同じ値となり、通常空気中での基準等感度曲線との変化はみられなかった。 3.吸音材料の高圧気体環境による吸音特性の評価 高圧タンク内でインパルス波形をスピ-カから発射し,距離の違う2点のマイクロホン位置で波形を観測した。高圧ヘリウム環境では吸音率が低くなることを明らかにした。
|