研究概要 |
地上で観測される磁気圏・電離圏プラズマ中のホイスラモ-ドのVLF/ELF電波の電磁界多成分波形計測に基づく方位測定方式を確立した。即ち、地上で受信可能な水平磁界二成分と垂直電界の三成分計測に基づき、その逆変換問題として電離層下端での波動エネルギ-分布を導出するものである。従来の方式では、電離層下端での波動エネルギ-分布が広い場合や複数のダクトが存在する場合には得られた結果は信頼出来ないものであった。先ず、波動分布関数のエントロピ-を最大にする最大エントロピ-法による「波動分布関数法」を完成した。シミュレ-ション実験により、複数の出口を判別出来ることが確認され、国内山岡(磁気緯度25°)の観測点での電磁界三成分の実測デ-タに対してもその有効性を確かめた。更に、このような波動分布関数方位測定法によりVLF波の電離層透温特性や磁気圏伝搬の更なる情報が得られる事が明らかになった。次に、本最大エントロピ-法では最終画像に関する評価に客斎性に欠けること及び非線形評価のため計算時間がかゝるという欠点がある。これらの点を解決するものとして、(1)正則化及び(2)最適画像評価における客観的評価法を導入した。即ち、最適画像に対しては、人工知能、情報理論の分野におけるAkaike's Information Criterion(AIC)の一種であるGeneralized Cross Validation(GCV)をはじめて導入した。各種シミュレ-ション実験及び実測デ-タに対する適用から,単一波源の時には極めて有用である事が明らかになった。しかし,二波源の時には、正則化により滑らかにする傾向が強く、近接した二波源を分離する事には問題がある。よりゆるい正則化の考案が不可欠であろう。更に、二点での方探を用いた誤差評価のため,(1)柿岡,(2)沼田,(3)館山三点での波形同時観測を行い、そのデ-タは今後の研究テ-マとなろう。
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