研究概要 |
平成3年度は,まず,衛星パケット通信網におけるOSI第2層(デ-タリンク層)の階層構成法を,システム性能の観点から検討した。媒体アクセス制御(MAC)副層と論理リンク制御(LLC)副層とを完全に分離し独立に定義した方式(分離型)と,MAC及びLLC副層を関連付けて定義した方式(結合型)とを取り上げた。分離型は,LANにおける構成と同じものであり,LLC副層における各種フレ-ムは,MAC副層においては,すべて単なるデ-タフレ-ムとして扱われる。一方,結合型は,MAX副層において,上位のLLC副層から受け取ったフレ-ムの種類がデ-タフレ-ムであるが制御フレ-ムであるかを判別できるものである。これら二つの方式の性能を,スル-プット及び平均応答時間を評価基準として比較した。MACプロトコルとしてはTDMA予約とスロット付アロハを,LLそプロトコルとしてはコネクション型を対象とした。TDMA予約通信網については,まず,分離型の解析を平衡点解析の手法により行い,次に分離型及び結合型の性能を,解析とシミュレ-ションにより比較した。比較により、分離型より結合型の方が常に性能が良いことを定量的に示した。また,スロット付アロハ通信網の場合には,分離型と結合型との性能差はほとんど見られないことをシミュレ-ションにより明らかにした。 以上の研究の他に,平成3年度には,衛星回線によるLAN間接続の研究の準備として,ギガビット/秒という高速伝送路を対象としたLAN用のMACプロトコルであるCRMAを取り上げた。そして,このプロトコルを用いたLANの性能評価も行った。
|