研究概要 |
本年度の研究の内容を大別すると(1)回路分割を用いた周期解の求解法,(2)回路分割を用いた非線形分布定数回路の過渡解析,(3)直流回路の分岐点と枝の方向の計算法である。 (1)回路分割を用いた周期解の求解法については,回路を弱非線形回路と強非線形回路に分割し弱非線形回路に対しては周波数領域での求解法強非線形部分回路に対しては時間領域での求解法を適用してそれぞれの部分回路を解析し,分割点でのそれぞれの応答が等しくなるようにニュ-トン法を適用し,効率的に周期解を求める求解法を確立した。この求解法はとくに回路のQが非常に高いフイルタ-や水晶発振器などに有効であり,IEEE CASに投稿中である。 (2)回路分割を用いた分布定数回路の過渡解析については,回路を線形部分回路と非線形部分回路に分割し,線形部分回路に対しては数値ラプラス逆変換を用いて解析し,非線形部分回路に対しては数値積分公式を用いようとするものである。この場合,分割点における波形を時間に関するべき級数で仮定し,両回路の応答が等しくなるように係数を設定しようというものであり,非線形分布定数回路の解析を可能にした。また大規模回路への応用も考えている。この研究はJTCCSCC91と電子情報通信学会非線形問題研究会に発表した。 (3)直流回路の分岐の問題は分岐点が回路の性質を急変する点に相当しこの点を求めることは非常に重要である。とくに,分岐点における枝の方向を計算するアルゴリズムと正弦波発振回路への応用したものを,電子情報通信学会非線形問題研究会と京都大学数理解析研究所で発表した。
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