本研究では、分散・並列処理環境に適した画像理解システムの枠組みの一つとして、並行トップダウン処理方式提案し、その有効性を検討した。 システム実現の具体的対象として、人間の顔面像をとりあげ、顔の向きや、ひげ、眼鏡など、顔の見え方を変化させる種々の要因に対応できる顔画像解析システムを構築した。具体的には、 ○ 顔の見え方を大きく変化させる要因として、カメラに対する顔の回転と、眼鏡などの付属物の有無を考慮し、個々の見え方に対応するモデルを構成した。これには、オブジェクト指向の考え方を導入し、継承機能を用いて各モデルの共通部分に関する重複を避けると同時に、モデル間の独立性を確保し、分散処理に適した構成とした。 ○ 各モデルに基づいて顔画像をトップダウンに解析する処理を並行に動作させる制御機構を開発した。これには、システム構築の効率化を考慮し、ル-ルベ-ス言語OPS83を用いた。 ○ 数十人の顔画像デ-タを撮影し、解析処理を行うことにより、提案した方式の有効性を検証する実験を行った。なお、設備備品として購入した高速ワ-クステ-ションは、大量の画像デ-タの解析実験を繰り返し試行するのに活用した。 なお、実際に分散・並列処理環境においてシステム構築することは、当初の計画どおり本研究課題の範囲には含めず、その基礎的段階として、提案した枠組みの実現法を明かにし、単一プロセッサ上で、その有効性の検証を行った。並列処理環境でのシステム構築が課題である。
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