本研究では、従来の並列計算機方式の問題点を解決するために、機能レベルの異なる情報処理階層に「VLIW(超長形式命令語)」と呼ばれる並列処理方式を適用し、またそれらを組み合わせることによる階層型超並列処理方式について研究する。さらに、対象とする問題に応じて、超並列計算機システムの要素プロセッサの粒度を変え得る計算機ア-キテクチャを設計し、超並列計算機の応用の拡大を図る。 本研究の成果は以下の通りである。 1.並列計算機の問題適応化方式についての研究調査:種々の並列計算機、特に汎用を狙った最新システムにおける、問題適応化技術及び超並列化技術について調査し、それらのトレ-ドオフ上の問題点を洗い出した。また、種々の最新の超並列計算機方式に関する研究について調査し、それらの利点や欠点について比較、検討を加えた。 2.MIMD(複数命令流・複数デ-タ流)処理を対象とする最適ハ-ドウェア/ソフトウェア・トレ-ドオフの設計:超並列処理の具体的な応用例としてMIMD処理を選び、「メッセ-ジフロ-型並列計算モデル」と呼ぶ新しい計算モデルを設計した。これは、マクロ・デ-タフロ-・モデルと並列オブジェクト指向モデルの概念を融合した新しい計算モデルである。計算モデルを実際の計算機ア-キテクチャの設計と切り離して考えるのではなく、並列計算機システムの開発に際して必要となるア-キテクチャ/OS/コンパイラに関わる種々のトレ-ドオフの決定をこの計算モデルを介して総合的に行なうことを目標とした。 3.階層型超並列処理機構の設計:2.で考案した計算モデルを適用する「メッセ-ジフロ-型超並列計算機」のア-キテクチャとして、マルチプロセッサ・レベルと要素プロセッサ内レベルとの2機能階層の並列処理機能を組み合わせた2レベル並列処理機構を設計した。
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