研究概要 |
本研究では,集積回路設計における高位レベル情報を下位レベルの情報から抽出する手法を研究している。本年度は,順序回路からの機能情報の抽出手法と機能情報抽出の応用技術を中心に研究を進めた。具体的には, 1.すでに開発していた組み合わせ回路からの機能情報抽出手法を発展させて,順序回路からの機能情報の抽出法について研究した。単純に同期式順序回路の動作をクロックの切れ目で分解し,組み合わせ回路からの機能情報抽出法を利用する方法を発展させ,算術演算など複数クロックでまとまった機能を実現する回路からの機能情報抽出を行なう手法を提案した。さらにこれらの機能を,試作している機能情報抽出システムFINESに組み込んだ。 2.回路のライブラリに依存しない電子回路からの機能情報抽出手法を考案し,プログラムを試作して,評価を行なった。これは,既存のレイアウトパタ-ンからの電子回路情報抽出技術と組み合わせてレイアウトバタ-ンからの機能情報抽出の可能性を示したことになる。 3.抽出した機能を機能記述言語を用いて表現する手法を検討するとともに,言語の意味論と機能情報抽出技術との関係について検討した。 4.機能情報抽出の技術を,機能レベルシミュレ-ションモデルの自動生成やドキュメント/マニュアルの作成支援,設計検証などへ応用する手法についても検討した。さらに,設計の種々のレベルの記述を含む統合ベンチマ-クの作成に,機能情報抽出技術が有効に利用できることを示した。 研究成果は,電子情報通信学会や情報処理学会をはじめ国内の学会や研究会などで発表した。
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