研究概要 |
本研究では,自動設計,特に論理合成の逆変換にあたる機能情報抽出技術の確立を目指して研究を行なった. 本研究の成果は,以下の3点にまとめられる. 1.論理回路から機能情報を抽出する手法の確立 本研究では,自動論理設計の逆変換にあたる論理回路からの機能情報の抽出手法を確立を主目標とした.まず,組み合わせ回路に対する機能情報抽出手法を研究し,2分決定木と付加情報の利用という新しいアイディアを基に,論理機能だけでなく規則的な算術演算機能を抽出する手法を確立した.我々の方法は,抽出対象となる回路の構造には依存しない実用的な手法である.試作システムとして機能情報抽出システムFINESを試作した.さらに,この技術を順序回路からの機能情報抽出へ拡張した. 2.レイアウト情報から回路情報を抽出する技術との接続に関する研究 レイアウトからの回路抽出技術と我々の機能情報抽出技術を結合すれば,レイアウト情報からの機能情報抽出が可能となる.本研究では,レイアウトからの回路抽出で得られるトランジスタ回路から直接機能情報抽出を行なう手法の検討を行ない,試作システムを作成評価した. 3.自動設計技術のなかでの機能情報抽出の利用に関する研究 機能情報抽出の技術を,機能レベルシミュレ-ションモデルの自動生成やドキュメント/マニュアルの作成支援,設計検証などへ応用する手法についても検討した. これらの研究成果の一部は,国内/国外の学会で発表するとともに,学会誌にも論文として公表している.本研究で対象とした問題は,ディジタル回路だけではなく,アナログ回路やソフトウェア工学などへの応用も期待できる.設計が情報と制限の付加による具体化のプロセスであるとすれば,情報抽出は逆に抽象化のプロセスであるといえる.本研究の成果を基に,広範囲の応用を考慮したより本質的な理論の研究を進めて行きたい.
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