本研究の目的は3次元の風向と風速を同時に測定できる風速計を開発することにあるが、本年度は、3次元に配置したコレクタ電極に流入するイオン電流の大きさと電極条件との関係を明らかにし、まず、二次元の風速・風向の同時検知特性について検討した。 1.測定プロ-ブの設計・試作:プロ-ブの構造は3次元的に風向を捉えることができるように、全体の形状を同心球状とした。内部球電極表面にはイオン源となるα線源をできるだけ均一に分布させるために、463kBqの箔状 ^<241>Am密封線源を球電極表面に8個対称に配置した。イオンコレクタとなる外部球状電極は球を輪郭とした曲線状電極とした。この電極は風のX、Y、およびZ方向成分測定用に4対のコレクタを構成した。 2.電流測定回路の製作:4対の各コレクタに流れ込むイオン電流の大きさは10^<ー9>Aオ-ダの微小電流であるため、高絶縁の高抵抗と高精度の演算増幅器を用いて、8個の微小電流検出回路を作製した。基準となる微小電流計としてエレクトロメ-タを使用し、試作回路が十分使用できることを確認した。 3.風速計出力演算処理システムの構築:コレクタ電流を電流ー電圧変換器、A/D変換器を通してパ-ソナルコンピュ-タに取り込み、風速計出力を演算、表示、出力するシステムを構築した。 4.風洞実験:最大風速8m/sの風洞を用いて試作プロ-ブに対する二次元風の風洞実験を行い、印加電界、プロ-ブの形状を変えた場合の風速検出特性について検討を行った結果、α線風速計は1m/s以下の微風速領域の測定に適していることが明らかになり、2次元風向検知に対しては生成イオンのプロ-ブからの逃げを少なくすることが必要であることが判明した。
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