本研究の目的は3次元の風向と風速を同時に測定できる風速計を開発することにあるが、本年度は、前年度の研究成果に基づき、3次元風向風速測定に適するようにプロ-ブの改良を行い、コレクタ電極に流入するイオン電流の大きさと電極条件との関係を明らかにし、二次元の風速・風向の同時検知特性について検討した。 1.測定プロ-ブの改良とイオン電流:プロ-ブの構造は3次元的に風向を捉えかつ生成されたイオンがプロ-ブからできるだけ逃げ出さないように全体の形状を同心球状とし、コレクタ1個の形状を1/4円弧から1/6円弧を3個接続したものに改良した。内部球電極表面のα線源の配置は前のプロ-ブに用いたものと同じで、463kBqの箔状^<241>Am密封線源を8個対称に固着した。コレクタに流れ込む電流の大きさは20%増加した。 2.風洞実験:最大風速8m/sの風洞を用いて試作プロ-ブに対する二次元風の風洞実験を行い印加電界、風速を変化させた場合の風速風向検出特性を調べた。風速の増加に対してプロ-ブからのイオンの逃げが少ないことが明らかになった。本α線風速計は1m/s以下の微風速領域では直線性がよく、また、風向に対する応答もほぼ正弦波状変化し、2次元の風向を風速と同時に検知できることを確かめた。3次元の風向測定にはこのプロ-ブが適用できる。
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