研究課題/領域番号 |
02650295
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 弘郎 東京大学, 工学部, 教授 (30092365)
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研究分担者 |
山口 晃生 東京大学, 工学部, 助手 (50230363)
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キーワード | インテリジェントセンサ / 知能化センサ / センサフュ-ジョン / 視覚情報処理 / 能動視覚 / 眼球運動 / 平衡覚センサ / 角速度センサ |
研究概要 |
1.前年度の実験を発展させ、カメラを回転運動させて外界を動く対象物を視野内に捉える実験を行なった。運動モデルとして、人間の眼球運動でいうサッケ-ド運動(跳躍性運動)とパ-シュ-ト運動(追従性運動)を、視線位置と視線速度に着目して記述したものを新たに用いた。 実験では、対象物が視野の中心付近にある時はパ-シュ-ト運動、中心から一定以上はなれた場合はサッケ-ド運動を、上述のモデルに従って行なうことデ、これら二種類の運動を同時あるいは単独で安定に生じさせることができた。 この結果から、通常の追従視覚系で行なわれているパ-シュ-ト性の運動に加えてサッケ-ド性の運動を適切に組み合わせれば、たとえば、カメラが対象物を見失いそうな時は対象物の視野内での位置を、カメラが対象物に追従している期間には対象物そのものを計測できることが示せた。これは、その時々で最適な動作を自律的な選択するという知能化センサの特徴が具体化されていると言える。 2.不規則な外乱によりカメラを振動回転させ、この回転量を角速度センサで検出して電子的に視線を移動させることで振動を補償できるようなシステムを構成した。このとき、視覚系は対象物の位置を平衡覚センサから得られる情報とは無関係に画像上の情報のみから抽出するようにした。 実験では、このシステムは自然背景上を動く対象物の絶対位置を正確に計測できた。つまり、一方で視線制御系は平衡覚情報のみに基づいて視線を動かし、他方で視覚系は視覚情報のみから対象物の位置を抽出するだけで全体として自身の運動に惑わされずに対象物の絶対的な位置が計測できた。 この実験は、視覚系と平衡覚系と眼球運動系をそれぞれ独立に動作させ、上位の知覚レベルで適切に情報の流れを統合することで融合動作が行なえる例となっており、このような計測システムの構成法がセンサフ-ジョンの実現に有効であることを示唆していると考えられる。
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