次元の呪い、数式モデル化における不確定性などといった大規模複合系の宿命を克服し、高い信頼性をもって制御系設計仕様を達成するためには、大規模複合系に対する頑健な分散制御方式の開発が不可欠である。 本研究では、具体的なス-パ-バイザリ-・センサの情報を3次元視覚情報とし、どのような形態の情報がより高性能な分散制御方式に不可欠であるかに焦点をしぼり、分散制御系における多層マルチセンサ方式を開発するための基礎的知見を得ることを目的とした。 研究実施計画にもとづいて得られた知見は以下の通りである。 (1)従来提案されている逐次同定法と同時同定法を利用し、DSPを並列的に用いることによって、制御対象(多関節マニピュレ-タ)の比較的大きなパラメ-タ変動を軽減するための分散型非線形制御則を容易に実現できることを確認した。 (2)比較的小さな不確定要素を伴う大規模複合系に適した分散ロバスト制御方式の基本的性質を明らかにする(計測自動制御学会論文集に発表済み、DSTシンポで口頭発表済み・裏面参照)とともに、その設計法を提案した(自動制御連合講演会で口頭発表済み・裏面参照)。 (3)上記の2つの成果の有効性をシミュレ-ションで確認した。その際、本研究補助金で購入した“3次元リアルタイム高速グラフィックエンジン1式"によって、その有効性を視覚的に検証することができた。 (4)ス-パ-バイザリ・センサの情報を利用し、自律的に分散ロバスト適応制御則を構築できる可能性を追求した。ス-パ-バイザリ・センサ情報を3次元視覚情報としたが、現地点において視覚情報を実システムのフィ-ドバック情報とすることはハ-ド面において極めて困難であった。視覚情報は極めて多くの情報を包含しているが、その反面、実時間処理に多大な負担がかかる。この点の研究が今後の間題点である。
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