研究概要 |
本研究の目的は、計算機代数学による制御理論の構築である。本年度は多項式代数法による2ーD制御理論の体系化、及び計算機代数との関連を明らかにすることを主たる研究対象とした。 前者に対する成果として次の知見が得られた。まず2Dシステムの安定化補償器のクラスを2変数多項式を要素とする行列方程式の解として与えられともに可安定化2Dシステムの条件を明らかにした。つぎにレギュレ-タやトラッキング,デッドビ-トなどの一連の補償器の設計も同様にBezout Skew primeの二種類の行列方程式の求解に帰着される事も明らかにできた。さらに上の行列方程式の解の存在条件も伴せて明らかにした。これらの結果は、国際誌Mautidimensional System and Signal Processingに論文“Bilateral Polynsmial Matrix Equation in Two Indeterminates"として発表した。現在は上の成果をもとに1ーD制御理論体系との整合を取りながら2ーD制御理論の体系化をさらに進めている。 後者については、上述の行列方程式の計算機による求解を含めて,2ーD制御理論の解析・設計支援システムを構築し、次の成果を得た。まづ汎用数式処理系は2ーD制御理論の支援システム開発に極めて有効であり、本研究ではREDUCEをベ-スに具体的なシステムを開発した。その成果は自動制御連合構演会において“REDUCEを用いた2ーD多項式代数方程式の求解パッケ-ジ"として発表した。つぎに計算機代数学の近年の成果であるGro^^″bnor基底の理論は、単に支援システムの構築に有効であるばかりでなく,2ーD制御理論の体系化と深いかかわりあいがあることが明らかになった。この視点からの研究は次年度以降の研究課題とするつもりである。
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