研究概要 |
本研究の目的は、計算機代数学にによる制御理論の構築である。平成2年度は主として2ーDシステム制御理論の体系化を研究し、得られた知見は次のとうりである。 1)2ーDシステムの伝達関数の既約性と安定性:2ーDシステムの伝達関数の既約性は1ーDとは大きく異なり、共通因子がなくても共通零点を持つ可能性があり、Zero CoprimeとFactor Coprimeの概念を必要とする。さらに伝達関数行列の場合はMinor Coprimeなる概念も必要とする。ここでは一般化多項式と抽象行列分解表現の考えかたを拡張したΩーCoprimeの概念を導入することにより、既約分解と安定性の条件を統一的に論ずることができた。 2)2ーDシステムの安定化補償器の設計;補償器の設計は基本的には行列方程式AX+BY=Cの求解に帰着される。そこでこの行列方程式の求解パッケ-ジを数式処理系を基に開発し2ーDシステム制御理論は計算機代数学と密接な関係がある事を示した。 平成3年度は上述の2ーDシステムをより一般化し、nーDシステムとして研究を進め以下の知見を得た。 3)nーDシステムの安定性;nーDシステムはn個の独立変数からなるがそのうち定義域が[∞,∞」になるのは一つだけである場合が多く、近年これを踏まえてPractical安定という概念が提唱された。ここではPractical安定化補償器の設計アルゴリズムを確立し、その設計支援システムを計算機代数学を利用して開発した。 4)nーDシステムの動的シミュレタ-の開発:nーDシステムの応答は複雑であり数式だけからではその挙動を推測するのは困難である。そこでCGを駆使しその挙動を視覚的に把握できるシステムを開発した。
|