本研究は栽培植物あずき(小豆)を用いて、成長と電気現象の関連を更に詳しく追及し、細胞集団レベルにおけるイオンポンプの時空間自己組織化構造に外界から影響を与え、成長の電気的制御の基礎付けを行い、同時に自己組織化構造のメカニズムの解明を行う事を目的としている。本年度は以下の事実が明らかになった。 1)多数本の電極を用いて電気的空間パタ-ンを測定する装置(多点空間同時測定装置)を用いて、水溶液中の根の表面の電位振動の振る舞いを調べた。平成2年度の設備備品であるパ-ソナルコンピュ-タを用いて、出力をデ-タ処理した結果、振動が根に沿ってコヒ-レントであることが判明した。さらに、同時に成長を顕微鏡付きビデオカメラで追う事で、振動と成長との関連を探った結果、多数本の根の統計処理を行い、振動を起こす成長が速い事が分かった。また1本の根についても、温度を変えることで成長速度を変えた結果、振動周波数が高い根は成長が速いことが判明した。 2)外部から種々の強度の直流電界(又は種々の電流密度強度)を根に平行に(種子から根先端方向および逆方向)印加し、成長速度へ及ぼす影響を調べた。その結果、根元側から電流を流すと、成長が促進されること、逆に先端側から流すと抑制されることが分かった。根の表面電位とpHを測定した結果、成長促進の際は、電位のパタ-ンが大きくなっていること、より酸性化していることも分かった。抑制の際は、逆の現象が見られた。 次年度は平行電流印加に引き続き、直交電流の効果も調べる。これらの電流(電界)印加による成長制御についても、その理論モデルを立てて、そのメカニズムを明らかにする予定である。
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