神戸商船大学の練習船深江丸(762排水トン、垂線間長45m、4翼CPP、直径2.1m)のプロペラ直上船体表面に変動圧力センサ-を埋め込み、また船体側壁にキャビテ-ション観測装置(ストロボ同時照明ビデオモニタ-)を取り付け、プロペラサ-フェ-スフォ-スとなる変動圧力とキャビテ-ションの実船同時計測を試みた。 平成2年度はこれらデ-タの採取とその整理を行なった。深江丸の航行海域は主に瀬戸内海に限られるが、そこでは海水の汚れ、及び上流から巻き込まれてくる空気泡のためにキャビテ-ションの観測は難しかった。このため紀伊水道から外洋へ出る夜間実験航海を2回実施し、ほぼ再現性のあるキャビテ-ションの記録を取ることができた。圧力変動の計測は内海でも可能であったから、さまざまな運転条件においてかなりのデ-タを採取することができた。得られた結果を要約すると、 *CPP装備船に対するこの種の実船計測デ-タは非常に少ないが、今回の実験により、一連の運転条件に対する貴重な系統的デ-タを得ることができた。 *旋回時、直進航行時の変動圧力を比較すると、後者の場合の方が大きかった。したがって分析の対象は直進航行時に絞ってよい。 *変動圧力に対するキャビテ-ションの影響は非常に大きいことが確認された。影響するのは伴流分布に起因する非定常キャビテ-ションである。キャビテ-ションが発生していないときの変動圧力周波数は翼基本周波数が卓越するが、キャビテ-ションが発生すると2次、3次の高次成分が急激に大きくなってくる。 これらデ-タを基にして、次年度(平成3年度)では各種変動圧力堆定法の比較評価を行なう予定である。
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