研究概要 |
1.面内境界条件の固有値(振動数,座屈応力)に及ぼす影響:相対する二辺が単純支持された逆対称アングル・プライおよび逆対称クロス・プライ積層板を対象にし,面内境界条件の規定の相違の固有値に与える影響を調べ次のようなことが明らかになった。 (1)プライ配向角を変化させたときの固有値の変動は,面内境界条件の規定の仕方によって大きな相違を示す。 (2)アスペクト比あるいは弾性係数比を変化させた場合の固有値の変動は,面内境界条件の規定の相違の影響をそれほど受けない。 2.初期応力の固有振動数に及ぼす影響:単純支持された相対する二辺上に一様な圧縮応力が作用する場合の逆対称アングル・プライおよび逆対称クロス・プライ積層板の自由振動解析を行い以下のような点が明らかになった。 (1)曲率項(Curvature term)を考慮することにより,無負荷時の固有振動数のみがわかれば,任意の負荷時の固有振動数が求められる評価式が導かれた。これによれば,固有振動数の2乗の変化率は波数m>m^♯で大きく(m=応力載荷方向の半波数,m^♯=座屈応力を与える半波数),m<m^♯で小さいことが理解できる。 (2)初期応力の作用による固有振動数の低下は,プライ配向角に大きく依存する。低下の度合はプライ配向角が大きい程著しい。 (3)初期応力の作用による固有振動数の低下の度合は,弾性係数比および板厚比によらずほぼ一定である。しかも積層数にはほとんど影響されない。
|