1.解析手法の確立:古典理論の適用範囲はかなり制限されるので、面外せん断変形を考慮した理論により定式化し、問題の性格上、系統的かつ膨大な計算を余儀なくされるので、直交多項式の零点を選点とする選点法による高精度・高効率な計算手法を開発した。さらに本解析法は選点におけるモード値を関数値とする補間型積分則を用いれば、積層構造要素の動力学的性質の解明に役立つひずみエネルギーも精度よく評価できるもである。 2.積層板の振動問題の解析:種々の境界条件を有する逆対称アングル・プライおよび逆対称クロス・プライの自由振動特性に及ぼすパラメータ(板厚比、プライ配向角、積層数および弾性係数比など)の影響を明らかにした。その結果、従来定性的にしか言及されていなかったカップリング剛性の自由振動特性に与える影響を、ひずみエネルギー変化の定量的な評価により明確にすることができた。 初期応力を受ける積層板の振動問題の解析:単純支持された相対する二辺上に一様な圧縮応力が作用する場合の逆対称アングル・プライおよび逆対称クロス・プライ積層板の振動解析を行い、初期応力の作用による固有振動数の低下はプライ配向角に大きく依存し、低下の程度はプライ配向角が大きい程著しいこと、また固有振動数の低下の度合は、板厚比および弾性係数比によらずほぼ一定で、しかも積層数にはほとんど影響されないことなどが明らかになった。 積層円筒殻の動的応答問題の解析:積層円筒殻の基本的な動的応答特性を把握するため、衝撃荷重を受ける両端単純支持された2層円筒殻を解析し、動的応答に端末効果が大きな影響を与えること、また境界近傍の軸方向応力は厚さ方向に著しく変化することが判明した。
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