| 研究概要 |
本研究は,埋設パイプラインを弾性体中の厚肉円管にモデル化し,これが地震波のような弾性波動を受けるときの動的応答を,三次元弾性波動伝播問題として解析し、埋設パイプラインとその周辺地盤の応答特性を検討するものである。解析方法は、円柱座標で表わされる三次元運動方程式をフ-リエ・ハンケル変換を用いて解き,円筒及び弾性体の基本変位解を求め,これを組合せて境界条件を満足するように解析するもので大量の約数計算と,大量出力デ-タの処理が問題となる。
本年度は、まず上の方法により導かれた理論により解析するためのプログラム及び図形出力のためのプログラムを完成させ,主として,せん断波をもととしたリッカ-ウエブレットが入射する時の応答解析を,パラメ-タ-を種々変化させて行なった。用いたパラメ-タ-は,地盤(弾性体)及び円管の弾性定数,円管の寸法,入射波の波長及び角度であり,これらを変化させ解析を行ない,変位分布や円管及び円管周辺部の応力分布を求めた。
その結果,円管の直径を含む平面での変位分布では,1).入射波の波長が短いとき,入射側の円管部で波の反射がみられ,干渉により弾性体部に大きな変位がみられる。2).波長が長くなると弾性体と円筒は一体となり入射波による変位のみとなる。ことが示され,また応力分布からは,3).円管部では入射波の波長が短いとき,局部的に大きな応力を生じ,波長が長くなると断面方向に大きな応力を生じている。4).弾性体部では,波長が短いとき大きな応力を生じているが,長い入射波長に対してはほとんど応力を生じない。5).入射角による影響は円筒部の応力に大きく現われ,入射角45°のとき特に大きい。ことが明らかとなった。
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