若材令コンクリ-トの耐凍害性を正しく評価する手法について検討を重ねるとともに、若材令コンクリ-トの強度と耐凍害性との関係について予備的に調べた。本研究で得られた主な知見を以下に示す。 1.若材令コンクリ-トの場合は、たとえ急速な水中凍結融解試験を行っても、試験中に動弾性係数が著しく増加するので、通常の方法ではその耐凍害性を正しく判定出来ない。 2.次式で定義される修正相対動弾性係数(RE_<mi>)を用いれば、動弾性係数の測定値(E_<mi>)を使用して、若材令コンクリ-トの凍結融解作用に伴う劣化状況や耐凍害性を正しく評価出来る。 RE_<mi>(%)=(E_<mi>)/(E_<ci>) x100 ここで、E_<ci>は、E_<mi>を測定した時点における内部劣化を含まない理想的な状態での動弾性係数の値であり、積算温度と動弾性係数の間に存在する双曲線式から求める。 3.凍結融解作用を受けた後の残留膨張ひずみが約100 x 10^<ー6>以上となる範囲では、凍結融解サイクルと膨張ひずみの対数値との間に極めて良好な直線関係が存在する。この直線関係の勾配(a)を次式に代入して得られるA(ひび割れ膨張係数)は、若材令コンクリ-トの耐凍害性を評価する簡便な指標となり得る。 A=10^8ー1 4.初期凍害による内部劣化を防ぐために必要な圧縮強度は、一般には、水セメント比によって相当に異なる。この所要圧縮強度の具体的な数値に関しては、構造物の露出状態を加味しながら、今後更に検討を重ねていく必要がある。
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