研究概要 |
まさ土斜面の崩壊は,そのほとんどが降雨によって引き起こされ,その崩壊形態はすべり面の浅い表層すべりを示す。崩壊の原因としては,降雨に伴う飽和度の上昇による強度の低下および自重の増加が考えられる。 そこで,遠心力載荷装置を用いた,降雨によるまさ土斜面崩壊実験を実施し,まさ土斜面の初期状態(間隙比,含水比)および斜面勾配に着目し,これらが降雨時のまさ土斜面崩壊におよぼす影響,あるいはまさ土斜面の破壊状況について考察した。その結果をまとめると次のようになる。 (1)降雨によるまさ土斜面の崩壊形態はほぼ2つの崩壊パタ-ンに分類することが出来る。すなわち,1つは斜面肩から斜面中腹にかけて直線的に崩れ落ちていく形であり,もう1つは斜面肩から斜面先にかけて円弧状にすべり落ちる形態である。いづれの場合も,そのすべり面の浅い表層すべりを示しており,実際のまさ土斜面の崩壊形態と同じである。 (2)まさ土斜面崩壊形態はその斜面勾配に大きく影響を受ける。斜面勾配60°をとした場合には,間隙比が同じであれば初期含水比に関係なく,その崩壊までの経過時間,置壊形状はほとんど同じである。一方,斜面勾配が45°では,その置壊形状は初期含水比の違いによって異なる。初期含水比が5.5%(乾燥側)の場合は円弧状のすべり,11.0%(最適含水比)では斜面肩から斜面中腹にかけての崩落である。 (3)低拘束圧域における飽和供試体のせん断試験結果から得られた強度定数を用いて計算した臨界円の位置の降雨によるまさ土斜面の置壊実験より得られたすべり線とはほぼ一致する。これより,降雨時の安定問題を検討する場合には,低拘束圧域の強度特性,特に,水侵による強度低下を考慮した強度特性の把握が必要である。
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