砂層中の液状水が水蒸気に変わる所で溶質の蓄積が生じ、蓄積量は蒸発速度と正の相関関係にある。従って、蒸発が起こる位置と蒸発量の予測が先ずもって大切である。そのために、砂層カラムを用いて、放熱強度および地下水位を種々変えて、砂層中の水蒸気圧分布および温度分布を求めた。地表面が大気と接する、いわゆる開放系の砂層中の水蒸気圧計測は未だなされていない。そのために分布形の抽出は極めて興味深く、実際に水蒸気移動メカニズムを知る上で多くの貴重な情報を与えている。水蒸気圧は直接求められないので、相対湿度と温度を同時計測することにより算定された。 また、現在温風下の蒸発実験を行なっており、これについてはデ-タの収集段階である。 これまでに得られた結果を列挙する。 (1)水蒸気圧の最大値は毛管フリンジ付近に現われ、地表に向って値は減少し、下方(地下水面)に向って増大する。すなわち、乾燥帯では水蒸気圧勾配は負(上向き正)となり、毛管帯では正となる。 (2)ガス圧は乾燥帯および毛管帯を通じてほぼ大気圧に等しく、水蒸気移動に及ぼすガスの移流効果は無視できる。 (3)乾燥帯中の水蒸気圧分布は直線的であり、水蒸気圧勾配と蒸発量は正比例する。
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