研究概要 |
平成3年度は、都市内ブロックの開発基準値の設定法を検討するための土地利用活動配分モデルを作成し、松山市中心部を対象にした適用計算を行なった。 土地利用配分に際しては、配分される用途別床面積は、(1)発生する交通量が道路網の最大容量を越えてはならない、(2)各用途に必要な地区環境条件を満たさねばならない、(3)都市全体の土地利用状況の面で合理的でなければならない。そこで、立地配分結果が市場均衡解となることが知られているHerbertーStevensモデルに、リンク容量制約条件、地区環境条件を組み込んだLP型用途別床面積配分モデルを作成した。 松山市域都心部への適用では2種類の計算を行なった。ひとつは松山市全体の道路網を対象として都心部の床面積開発基準を設定するものである。主要リンク20本を対象として都心部5ブロックでの配分を行なった結果、市北部のリンクが開発可能床面積を大きく制約していること、また、道路容量制約が厳しい場合には、つけ値のより高い商業や業務活動よりも床面積あたり発生交通量のより少ない住宅が優先的に配分されること等がわかった。 次に、松山市駅周辺地区を対象として、道路整備による開発基準値すなわち許容床面積の変化に関する試算を行なった。その結果、可能交通容量をリンク容量と考えた場合には、局部的な道路改良によって、97万3千平方メ-トルが新たに開発許容となり、その潜在的評価額は約3,200億円と見積もられることがわかった。
|