本研究は、東南アジアで最初に、軌道系公共交通機関であるLRTを導入したマニラ首都圏を対象に、LRTの導入が、人々の交通機関選択、自動車保有行動、及び居住地の選択行動に、どの様な影響を及ぼしたのかを分析した。 分共交通機関選択については、1989年11月に実施したパ-ソントリップ調査を用いて、個人の交通機関選択行動を表現するモデルの作成を通して影響を分析し、収入、LRTへのアクセス距離、LRTの乗車時間等が、大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。 自動車保有行動への影響についても、交通機関選択への影響分析と同様、個人の自動車保有行動を表現するモデルの作成を通して影響を分析した。そして、従来から、主な自動車保有要因であると言われている世帯収入、世帯構成員の就業者数に加え、主要地点への公共交通機関の整備水準が、自動車保有に影響を与えていることを示した。 居住地の選択行動については、まず、マニラ首都圏における従業地と居住地の関係が、ロ-リ・モデルで表現できることを検討し、ロ-リ・モデルで用いた居住地配分関数の距離に、LRTの整備水準が影響を与えていることを検討した。前者の検討については、一応の成果が得られたが、後者については、現在までの所、満足できる成果は得られていない。
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