昨年度に続いて、浸出水集排水管近傍の好気性廃棄物層・砕石層における、好気性微生物による水溶性有機物の分解実験を継続した。今年度の実験でも、前年度と同様に廃棄物層の酸素消費速度(BOD除去速度)と層内酸素ガス濃度の関係をモノ-式で表現することの検討を行い(つまり長期的な酸素消費特性の変化を追求した)、さらに汚水量を変化させることによって酸素消費速度に対する水量の影響を求めた。 今回の継続実験では焼却灰層は酸化鉄の生成のために、通水が因難となった。また、混合ごみ層でも層内の水分滞留量が多く、層内への空気供給が不安定となった。 実験によって得られた主な結果は次の通りである。 (1)モデル解析により層内のガスの流れを解析した。層内のガスは拡散により相当に混合が激しい状態にあることが分かった。(2)人工汚水中のNaCl濃度を変えてトレ-サ応答を行い、層内の滞水量を測定した。さらに、層内の水流れの混合が激しいことも分かった。(3)実験層内では、好気性微生物反応が起こっており、さらに酸素消費速度をTOC(BOD)除去速度の代用として使えることが分かった。このことは前年度の成果と同じである。(4)前年度と同様にモノ-式(R_1=R_1^<max>×P/(K_0+P)ここでR_1:酸素吸収速度、R_1^<max>:最大酸素吸収速度、P:層内酸素分圧、Ko:飽和定数)で表現することができた。また、微生物の酸素吸収がガス中の酸素濃度にきわめてよく対応することが分かった。(5)得られたモノ-式のパラメ-タ値は前年度と比較して、R_1^<max>には大きな変化はなかったのに対して、Koは非常に小さくなり、層内の微生物が低酸素環境に馴致されたと思われる。特に砕石層でBOD除去能力が高いことは浸出水集排水管近傍のBOD除去能力を安定的に確保する上で重要である。(6)水量の増加と共に、R_1^<max>は増加していくが、TOC除去率は低下する傾向にあった。 さらに、本年度は、実験結果を使って浸出水集排水管の設計理論を展開する予定であったが、理論的な整理は相当にできたが、実際の埋立地において展開するためには、三次元的な取扱の難しさや埋立作業の経時的展開の定式化の困難さのために、行えなかった。今後の課題としたい。
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