研究概要 |
本研究の目的は腐食機構を解明し、その防止方法を見出すことにあるが、特に生物学的面からのアプロ-チを特微とする。すなわち、腐食過程における細菌活性と環境要因の関係を調べ、生物腐食機構を明らかにした後、有効な腐食防止方法を見出すことにある。 当該年度はイオウ酸化細菌による硫酸生成と環境要因の関係を検討した。調査は、実際の下水管,パイロットプラントおよび実験室におけるモルタル供試体を用いて腐食速度の検討をした.その結果、腐食は水面付近が最も著しく、管頂部分および水面から離れるほど腐食速度は低下した。すなわち、実処理場の水面付近の腐食速度は約5mm/年、管頂付近は1.4mm/年であった。モルタル供試体を用いた場合,実基の処理施設より,腐食速度が高くなる傾向にあった.例えば、水面付近の腐食速度は6〜8mm/年であった。腐食速度に影響を与える要因としては、H_2S濃度、水分、温度が重要であることがわかった。腐食物質としては主としてジプサム、エトリンガイドが生成するがそれらの生成はpHに依存し、pHが3以下でジプサムがpHが3以上でエトリンガイトが生成した。腐食物質の表面上に生息するThibacillus thiooxidansの細胞数は10^3〜10^4l/gであった。
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