研究概要 |
本研究の目的は腐食機構を解明し、その防止方法を見出すことにあるが、特に生物学的面からのアプロ-チを特徴とする。すなわち、腐食過程における細菌活性と環境要因の関係を調べ、生物腐食機構を明らかにした後、有効な腐食防止方法を見出すことにある。 平成2年は硫酸塩還元菌による硫化水素生成と環境要因との関係を検討した。その結果、有機物濃度(特に有機酸)、硫化塩濃度、硫酸塩還元菌数と硫化水素生成速度の関係を求めた。 下水管中の硫化水素は主として下水管沈澱物から生成することがわかった。その調査方法としては ^<35>s同位体を用いた。平成3年度はイオウ酸化細菌による硫酸生成と環境要因の関係を検討した。調査は、実際下水管,パイロットプラントおよび実験室におけるモルタル供試体を用いて腐食速度の検討をした。その結果、腐食は水面付近が最も著しく、その部分の腐食速度は4〜8mm/年であった。管頂部分および水面から離れるほど腐食速度は低下した。モルタル供試体を用いた場合,実際の処理施設より,腐食速度が高くなる傾向にあった。腐食速度に影響を与える要因としては、H_2S濃度、水分、温度が重要であり、腐食物質(ジプサム、エトリンガイト等)の生成はpHに依存することがわかった。
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