現在問題になっている一般廃棄物最終処分場浸出水における高濃度カルシウムの除去法として、晶析現象を利用した種結晶流動式カルシウム除去装置を提案し、人工原水によりその装置特性やカルシウム除去特性を検討した。また実際の浸出水への適用も試みた。以下に得られた主な結論を述べる。 1、反応系における結晶成長速度式を -dC/dt=K*C^2 と簡略化でき、回分式実験によりKの値を76.1mol/l・sと推定できた。 2、装置内のカルシウムの物質収支より特性モデル式 V(-dC/dt)=Q*Co-Qc を提案した。 3、装置の操作により人工原水においては、カルシウム濃度が2.50×10^<-3>mol/lまでの処理はモデル式が適用できたがそれ以降は一次核の発生に起因すると見られるずれが生じた。しかしカルシウムの悪影響を考えなくてよいとされる2.50×10^<-3>mol/l以下の処理水を8.75×10^<-3>mol/lまでの処理で得ることができた 4、方法は現在広く使われているアルカリ凝集沈殿法よりも薬品コストや汚泥処理コストにおいて有用である。 5、高濃度カルシウム(8.75×10^<-3>mol/l)下における長時間(1200min=操作で高炉スラグの粒径が1.50倍になった。 6、装置の操作により実際の浸出水においては、カルシウム濃度5.0×10^<-4>mol/lまでの処理においてカルシウム濃度2.50×10^<-3>mol/l以下の処理水を得ることができた。 7、浸出水性状の特徴であるアンモニウムイオンは、浸出水における濃度レベルであれば処理に影響はない。
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