1.研究目的 本研究は、円形槽内で水を旋回させたときに槽底面付近と水面付近に発生する二次流れ、すなわち槽中心方向の流れを利用して運搬水から固形物を除去する施設の研究開発を目的としている。 2.実験装置 研究は実験室規模の装置と実際の施設を用いて実施した。実験室規模の装置は、内径50cmおよび75cmの円形槽に、それぞれ直径10cmおよび15cmの回転円筒を備えており、回転数は任意に設定できる。槽への流入水は円形状の外壁の接線方向から流入させている。流出口は流入位置から270°回転したところに位置し、浮上物質を除去する場合には潜りオリフィスとした。 実施設の調査には、高松市東部ポンプ場の雨水吐に設置した浮上物質除去施設と本宮町舘町ポンプ場の円形沈砂池を用いた。これらの施設の大きさは、それぞれ、槽直径9m、有効水深3.5m、回転円筒直径2mおよび槽直径12.5m、有効水深3.4m、回転円筒直径2.5mである。 3.結果 研究結果を列挙すると以下のようになる。 (1)槽底面付近の二次流れの中心方向の速度は、その位置の水面勾配の1/2乗に比例する。水面付近では、正確な流速測定ができなかったが、中心方向の流速は底面付近と同じに、水面勾配の1/2乗に比例すると考えられる。 (2)外周から接線方向に流入させ、さらに回転体を回転させることにより、槽内の水面勾配は半径にかかわらずほぼ均一となる。 (3)流出口を潜りオリフィスとすることにより、浮上した物質はほぼ完全に除去することができる。 (4)回転体の下部では上昇流が発生するので、槽中央部に掻寄せられた沈砂は、水流により常に掃流されて絡み着いている有機物を洗い落とすので、有機物含有量の少ない砂を得ることができる。
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