身体接触時の痛さからみた床のかたさの評価方法に関いては、まず種々のかたさおよび材料、構法の床試料を作成し、肘、膝などの代表的身体部位に関し、身体押しつけ時の痛さからみた床のかたさを官能検査手法を用いて定量化し、痛さ評価尺度を構成した。次に、身体部位に近似した荷重量、接触面積の荷重を床に作用させ得る機構を持ち、かつ床の載荷時の変形性状を測定し得る、痛さからみた床のかたさ測定装置を設計・試作した。さらに、設計・試作した測定装置を用いて床試料を測定し、測定結果と痛さ評価尺度との対応から、痛さからみた床のかたさを表示し得る物理量および相対的評価方法を提示した。さらに、研究代表者らの既往の研究成果を適用して、凹凸を有する床をも対象とした、身体接触時の痛さからみた床の総合的な評価方法を提示した。 キャスタ-走行性からみた床の評価方法に関しては、まず車輪径、重量などの要因を種々変化させた模擬キャスタ-を作成し、かたさなどの性状の様々な床試料に関するキャスタ-の走行性を、走行時の抵抗荷重および官能検査手法による走行性評価尺度として定量化した。その結果、キャスタ-走行時の抵抗荷重は走行性評価尺度とよく対応することを確認するとともに、基本的なキャスタ-の走行性の評価指標を提示した。次に種々のキャスタ-の抵抗荷重を標準キャスタ-の抵抗荷重により推定する推定式を提示した。また、車椅子に関しても同様の考察を行い、標準キャスタ-による車椅子の抵抗荷重の推定式を提示した。さらに、キャスタ-の走行時の床の床の動的変形挙動を測定し、キャスタ-の抵抗荷重を間接的に表示し得る床の物理量を抽出するとともに、この結果に基づき、キャスタ-の走行性からみた床の変形性状測定装置を設計・試作し、本装置より得られる物理量とともに、キャスタ-の走行性からみた床の評価指標、評価方法を提示した。
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