研究概要 |
堆積盆地状の不整形地盤の短周期地動に及ぼす地層境界の形状,地層インピ-ダンス比,入力地震波動の種別,及び,堆積盆地内地盤を伝播する表面波等の諸要因の影響を吟味する目的で,厚さ300m〜100m・幅10kmでその大部分が軟弱な水平成層地盤で両端部で傾斜した地層境界で閉じられる不整形地盤(タイプ2)と,地層境界が余弦関数で表される不整形地盤(タイプ1)の二つの2次元の堆積盆地状の不整形地盤モデルを設定し,平面SH波入射による地動応答を境界積分方程式により振動数8Hzまで精度良く求め.それらの周波数応答を比較検討し,地層境界の傾斜の小さいタイプ1周波数応答は水平成層地盤のそれによく似ているが,タイプ2の周波数応答は水平成層地盤の共振曲線を基準にして激しく振動しながら推移していることを明らかにした. さらにRicker waveletを入力とした場合のタイプ2の盆地内地動応答には後続位相がみられるが,これを傾斜した地層境界により誘発されるLove波と特定した.卓越振動数が4Hzと6Hzの人工地震波を作成し,それによる地動応答を評価した結果,タイプ2の地動応答はタイプ2のそれより,両端の傾斜地層境界より誘発される表面波(Love波)の影響により,より複雑で継続時間が長くなることや,地動最大応答は盆地中央部よりも傾斜地層境界近傍で,比較的高い振動数で起こる傾向があることなどを明らかにした.さらにタイプ2の地動応答を硬質地盤上の応答に対するスペクトル比を評価し,各サイトの地動応答を地層構成が水平成層地盤であるとした場合のスペクトル比と比較検討した結果,水平成層地盤の場合のスペクトル比は,表層地盤の固有振動数に応じてピ-クが現れるのに対して,タイプ2の場合のそれは,これらのピ-クの谷間を表面波による影響で埋めるような形で広帯域の応答を示すことを明らかにした.
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