コンクリ-ト中の鉄筋腐食に及ぼすかぶり厚さ、ひびわれ、コンクリ-トの品質および打込方向(ブリ-ヂング)の影響を調べる目的で、計48体の持続載荷した小型RCはり試験体の腐食促進試験を行い、腐食電流、電気化学的特性値ならびに腐食面積などを測定した。本実験の特徴は一つは、鉄筋のひびわれ位置をアノ-ド腐食部位とし、中央27mm区間外をエポキシ樹脂塗料で静電粉体塗装し、アノ-ドと鉄筋の側に埋設しタステンレス棒(カソ-ド)との間のマクロセル腐食電流を試験開始から終了までの期間連続して測定したことにある。 本実験で得られた結果は以下のとおりである。 1)電気化学的特性値は、マクロセル腐食電流の変化をほぼ促え、腐食の発生等の腐食状態の変化を判定する資料となることを確認した。また、分極抵抗の逆数の時間積分値が腐食量と対応することも確認できた。 2)かぶり厚さが大きい程、またひびわれ幅が小さい程、鉄筋腐食量が少なくなることが確認できた。腐食面積では水セメント比が60%のコンクリ-トにおいては、ひびわれのないかぶり厚さ20mmの場合と約0.2mmのひびわれのあるかぶり厚さ40mmの場合がほぼ同程度であった。 3)水セメント比(60%と40%)は鉄筋腐食に大きく影響する。また水セメント比60%の場合はかぶり厚さの効界が著しく、同40%の場合はひびわれ幅の影響が顕著に現われる。 4)コンクリ-トの打込すなわちブリ-ヂングの影響は、Cl^-を含有する混練水を用いた昨年度の実験の場合と異なって、顕著ではなかった。
|