コンクリート中における鉄筋腐食におよぼすコンクリートのかぶり厚さ、水セメント比、ひびわれ幅およびコンクリートの打込方向を明らかにする目的で、2つの腐食促進試験を行った。1つはマクロセル腐食のモデル実験で、ひびわれを除く上記の要因の異なるコンクリート中に埋設した丸鋼(カソード)をコンクリート中に埋設したステンレスプレート(アノード)と電気的に接続し、腐食電流を自動計測したものであり、他の一つは曲げ載荷を行ったRCはり試験体において、ひびわれ位置にある鉄筋部位をアノードとするアクロセル腐食電流を自動計測したものである。電気化学的特性値の測定ならびに試験終了後の腐食状況の観察も行った。得られた結果を纏めると次のようになる。 1)かぶり厚さが大きい程、またひびわれ幅が小さい程、鉄筋腐食量が少なくなることが確認できた。梁実験では、水セメント比が60%のコンクリートにおいては、ひびわれのないかぶり厚さ20mmの場分と約0.2mmのひびわれのあるかぶり厚さ40mmの場合がほぼ同程度の腐食面積であった。 2)水セメント比(60%と40%)は鉄筋腐食に大きく影響する。また水セメント比60%の場合はかぶり厚さの効果が著しく、同40%の場合はひびわれ幅の影響が顕著に現われる。 3)コンクリートの打込方向すなわちブリーヂングの影響は、コンクリート中にC1^-を含有させたモデル実験では大きく、水平打ちの場合の腐食電流は鉛直打ちの約2倍であった。C1^-を含有していない梁実験では打込方向の影響は顕響は顕著でなかった。 4)電気化学的特性値は、マクロセル腐食電流の変化をほぼ捉え、腐食の発生等の腐食状態の変化を判定する指標となることを確認した。また、分極抵抗の逆数の時間積分値が腐食量と対応することも確認できた。
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