1.方法 本研究では、伊勢湾台風の被害をまともに受け、また濃尾地震の経験もある名古屋市南部、天白川河口右岸地域の居住者約2000名を対象に、台風、地震および高潮について、関心度のアンケ-ト調査を行い、防災意識の把握に努めた。 2.調査結果 (1).老人のみの世帯が意外に多く、伊勢湾台風の経験者が多数ご存命で災害に対する関心度は非常に高い。 (2).若年令層は、これに対して、災害に備えることの重要性は認識していても、実際には何も準備をしていないという傾向が強い。 (3).近年ポンプ場の整備が進み、豪雨時でも滞水現象が見られなくなった為か、いわゆるゼロメ-トル地域でも堤防があるから大丈夫であるという意識が非常に強く感じられる。関心は堤防が劣化するのではないかという心配に移っている。 (4).アンケ-トの回答率は、54%程度で、かなりの無関心層があった。災害経験の無い人であろうと推則された。 3.結論 住民は、行政に全幅の信頼を寄せていて、国家が守ってくれるものと信じていることが良くわかった。自衛する意識は持っていても、実際には対応は難しいようである。残念ながら行政が指導しなければ、防災意識も向上しないことがわかった。
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