実働荷重を規則的な変動荷重に置き換えたプログラム荷重下における基本的な溶接継手の溶接止端における疲労き裂の発生・進展特性を明らかにするために、主板に16mm厚鋼板(SM400A)を用いたリブT形すみ肉溶接継手の定荷重および多段プログラムブロック荷重曲げ疲労試験を実施した。載荷方式は4点曲げの荷重制御、負荷波形はSin波、載荷速度は3〜5Hzとした。応力条件は片振り(応力比R=0)と両振り(R=ー1)の2種類とした。 荷重プログラムは、ブロック数を2段と3段の2種類、ブロックの大きさを2種類(R=0の時のみ)に変化させブロック内の各応力の繰返し回数が同じになるように設定した。得られた結果を以下に示す。 1.表面き裂の進展性状に関しては、き裂進展速度は長さ方向と板厚方向ともに両振りの場合が片振りに比べて速い。ブロック数の変化の影響に関しては、長さ方向については両振りの場合3段の方が2段に比べて速いが、片振りの場合2段と3段の差異はみられず、いずれの場合も定荷重試験結果に比べて速い傾向をしめす。板厚方向については2段と3段の差異は認められない。ブロックの大きさの影響は認められない。 2.疲労き裂発生寿命Ncと破壊寿命Nfに関しては、直線被害則を適用した等価応力振幅を用いて整理すると、NcとNfともに両振りの場合が片振りに比べて小さくなる。Ncに関しては、ブロックの大きさの違いの影響は認められないが、ブロック数については、2段に比べて3段の方が寿命値にばらつきがある。定荷重試験結果に比べて若干寿命値は小さくなる。Nfに関しては、ブロックの数と大きさの違いの影響は認められず定荷重試験結果と同じ直線上にのってくる。 3.累積被害値Dに関しては、Nfに対するDは1に近い値となり、直線被害則が成り立つ。Ncに対するD値は0.3〜1.1となり、ばらつきが大きい。
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