1.文献研究 本課題に関する最近10年間の国内外の文献約50編を収集し、既往の研究動向および知見の大要を把握した。 2.温度画像解析による材料・部材内の欠陥、組織の不均一、および含水状態の不均一の検知に関する検討 (1)人為的欠陥として直径が10mm以下の各種寸法の半貫通孔、トンネル状孔を設けた金属およびプラスチック試料について、表面を加熱した後の各経過時の温度画像の記録から欠陥部の検知の可能性を検討した。プラスチック試料については、密実部と欠陥箇所の過渡的伝熱差に基づく表面温度差が大きく、欠陥の寸法と深さにより検知が可能であったが、熱伝導が大きい金属試料については検知は不可能であった。 (2)4から9%までの各種含水率に調整し、同一温度に保存した多数のセメントモルタル板の温度画像解析から、表面温度測定値は含水率の増加に伴なって直接的に低下するが、その変動幅は0.5℃以内にとどまること、また環境温度に対する表面温度の変化傾向は含水率によって影響されないことを確認した。 (3)棒鋼を各種のかぶり厚で埋め込んだ鉄筋コンクリ-ト試料の表面温度画像から、かぶりが15mm以内にある鉄筋の存在が検知出来ることを確認した。 3.温度画像解析による材料内の応力ーひずみ分布の検知に関する予備的検討 プラスチック板試験体に低サイクルの繰り返し引張荷重を作用させ、ひずみゲ-ジによるひずみ分布記録と、サ-モグラフィ-による温度画像記録の対比を試みたが、材料の破断に至るまで明瞭な表面温度差は確認出来ず、標記の目的に対するサ-モグラフィ-技術の応用の可能性を確認するに至らなかった。
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