鉄筋コンクリ-ト造建物(RC)の合理的設計法、新技術の展開の中での設計・施工法の確立を目標に、プレキャスト化が進められている。特に、部分をプレキャスト化し、残りを場所打コンクリ-トにより一体化させていく、いわゆる、ハ-フプレキャスト構・工法は、建設技術の近代化を従来より積み重ねられた施工技術の信頼性に立脚していると認識しやすく、積極的な利用が進められている。 RCはリ部材については、床スラブにハ-フプレキャスト板が使用されることより、水平打継を有することになる。水平打継を有するRCはリ部材のせん断耐力は、せん断補強筋量が少ない場合、打継面に沿って水平ずれおよび開きが顕著に生じ、耐力評価にあたって一体打ちに比べた場合低い値となることが重要なこととしてきた。本研究では、はり部材の曲げ耐力を2水準に設定し、それらについて、せん断補強量を3水準で補強し、水平打継の有無の要因のもとで合計12体の試験体を作製し、実験結果を比較検討することとした。 実験の結果、打ち継きを有する場合、一体打ちとは異なった破壊性状を示し、剛性、耐力の低下は著しい。これは、せん断補強筋量が少なく、せん断余裕度が小さい場合に顕著に見られた。また、全体変形における水平打継面のずれ変形量の割合が示めされ、復元力特性下におけるスリップ型変形性状との対応も明らかにすることができた。 なお、水平打継を有するせん断耐力評価について、既往の研究成果と今回の成果とを総合的に検討し、ずれせん断引張破壊とずれせん断圧縮破壊毎の評価を示している。
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