研究概要 |
地震時における構造物の浮き上がり・ロッキング挙動を研究、検討する目的で、3層構造のモデル試験体を製作し、自由振動実験および強制振動実験(正弦波入力、地震動入力)を行った。また、若干のシミュレ-ション解析を行うことによって、浮き上がり・ロッキング挙動の分析的把握に努めた。研究結果の要約を以下に示す。 1.自由振動開始後、系全体の振動周期は、浮き上がり時の1サイクルから2サイクルまでは顕著に減少し、その後、4サイクルあたりからほぼ一定となり、0.43秒に収束した。基礎部を固定した場合の上部構造の固有周期の実測値は0.37秒であるが、支持床の影響により系の周期は上記の0.43秒に延びた。系の減衰は1サイクルから2サイクルまでは大きな値を示すが、次第に減少して約1.0%に収束した。 2.正弦波入力実験では、水平方向の入力加速度値を50galから200galまで、4倍に増すと応答加速度の共振曲線に浮き上がりの影響が強く表れ、浮き上がり範囲での第3層水平方向加速度の応答倍率は2倍程度に低下し、強い非線形性を示した。さらに上下動入力を加えた場合、浮き上がり範囲は低振動数領域、高振動数領域の両側に広がり、その応答量き頭打ちとなって、水平1方向入力時と同じような傾向となった。 3.エルセントロ波(NS)の加速度レベルを100galと342galとして用いた地震動入力実験では、100gal入力時では線形応答しており、浮き上がりは認められない。342gal入力時に浮き上がりは顕著に現れ、各層の加速度応答時刻歴波形の振幅が頭打ちとなり、加速度応答倍率は大幅に低下し、浮き上がりによる非線形性が確認された。 4.上下道による影響を東北大学波(NSー258gal,UDー158gal)で検討したが、その影響はほとんどみられなかった。 5.自由振動実験結果のシミュレ-ション解析では、特に、接触の際の速度低減率をパラメ-タとして数値的に検討した。その結果は、実験値とよく対応する良好な成果を得た。
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