研究概要 |
本年度の研究概要は,従来の研究結果も含めて,使用した人工軽量粗骨材自体の特性,また,コンクリ-トの高強度化を可能にした高性能(A.E)減水剤がフレッシュコンクリ-トの流動性状及び硬化コンクリ-トの強度を中心として諸性状に与える影響について実験を行ったものである。その結果、本研究の範囲では次のような事実が明らかとなった。 1.使用したフライアッシュ系及び膨張けつ岩系の人工軽量粗骨材の特性としては,破砕値はほぼ同じで骨材の強さには差はほとんどないが,吸水率は3〜4%の差が両粗骨材に生じている。このような軽量粗骨材のコンクリ-トへの使用の場合は,粗骨材が有する含有水分及びその形状が,砕石使用の場合に比べてフレッシュ状態での流動性状や硬化後の強度発現に相当の影響が認められた。 2.低水セメント比,例えば30%〜35%でも高性能減水剤の使用により十分な施工性(スランプ,空気量など)が保持出来ることが確認され,硬化後のコンクリ-トの強度にも悪影響は認められない。なお,高性能減水剤と併用添加を行った流動化剤も十分にその効果を発揮している。なお,今年度は施工性に関するスランプ試験以外の他の試験方法(L型スランプ,ト-ラムスランプなど)も予備的に行ったが,特にL型スランプ試験の場合は通常のスランプ試験では表わせないがコンシステンシ-の確認が可能であることが判明した。 3.硬化コンクリ-トの高強度化に関して,軽量コンクリ-トでも圧縮強度500kgf/cm^2以上の強度の確保は,砕石コンクリ-トほどではないにしろ,水セメント比と材令の組合せより十分に可能である。また,施工性及び硬化後の諸性状も良好であると言える。なお,軽量コンクリ-トでは,気中養生でも水中養生の場合と同等度もしくはそれ以上の圧縮強度が得られることが認められた。
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