研究概要 |
平成3年度は,前年度に引き続いて高強度軽量コンクリ-トに対する使用セメントの種類による影響や,実大構造体に準じた模擬柱(25×25×400cm)による構造体強度(コア供試体)と標準供試体(φ10×20cm)の比較及び養生方法の影響について,主に力学的側面から検討を行った。その結果,本研究の範囲では次のよう事が認められた。 1.基本的には、人工軽量骨材及び砕石の場合ともセメントの種類(普通ポルト,フライB種,高炉B種)による影響はさほどなく,特に低水セメント比による高強度域での圧縮強度ではセメントの種類に関係なくほぼ同程度である。ただし,普通ポルト使用に比べて,フライB種及び高炉B種の場合はブリ-ジング及び空気量の経時変化などに若干の差異が認められる。 2.コア供試体による構造体強度と構造体強度の推定のために一般的に用いられる標準供試体の強度との比較では,養生方法及び材令などの条件が一定でも両供試体の強度発現状態に違いが生じている。特に,標準供試体では養生方法に伴って強度発現に差が認められるのに対し,コア供試体では比較的強度差が少い。このことは,構造体(コア供試体)の場合は寸法効果により,寸法が小さい標準供試体に比べて外的な養生条件の影響が緩和されるものと考えられる。 3.模擬的構造体としての柱形供試体では,養生方法(気中養生,封かん養生)に関係なく,高さ方向に伴う柱上部と下部で強度差が生じている。この現象は破壊試験(コア圧縮強度)及び非破壊試験(音速,反発硬度)などによって認められ,柱上・下部の強度差は低水セメント比に向うに従って減少傾向を示している。 4.高強度化を目的としたシリカフュム混入により強度の増大が認められるが,その際にはより水分の供給が可能な養生が求められる。
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