研究概要 |
平成4年度は,前年度の高強度軽量コンクリートを対象とした実験に引き続き,砕石使用の高強度コンクリートの養生法の影響,構造体に準じた柱形供試体(25×25×400cm)より採取したコア供試体による高さ方向を含めた力学的性状を中心として比較検討を行った。その結果,本年度の研究の範囲では次のようなことが認められた。 1.標準供試体の場合は,砕石コンクリートは骨材,養生方法及び材令に関係なく,水セメント比30〜50%の範囲では30〜35%における強度増加が著しい。また,水セメント比30〜50%にわたり材令28日と91日の平均強度は,標準養生,現場水中養生,封かん養生,気中養生の順に強度低下を示す。なお,同様に軽量コンクリートの場合は気中養生及び封かん養生の場合が標準養生及び現場水中養生より高い強度を示し,両コンクリートの強度は使用骨材による影響も認められる。 2.構造体に準じた砕石コンクリートのコア強度は,全般に水セメント比の減少に伴い柱上部・下部の強度差が小さくなり,特に水セメント30%でシリカフューム混入の場合は強度差がほとんど生じていない。また,水セメント比別にコア採取高さ8箇所の平均圧縮強度を基準(100%)とした場合は,砕石コンクリートのは封かん養生では柱上部は81〜95%,下部は99〜108%,気中養生では柱上部は81〜96%,下部は99〜113%となっている。 3.標準供試体と柱形供試体から採取のコア供試体の強度比較は,砕石コンクリートでは養生方法に関係なく柱下部の強度は比較的高いが,上部の強度の標準供試体の強度より若干低くなっている。 4.シリカフュームの混入は強度の増加をもたらすが,混入率20%以上になると中性化深さが著しく大きくなり,pHも低下する。また,シリカフューム混入率の増加は塩素イオンの浸透抑制効果を有する。
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