1.本研究は、地震動距離減衰特性を研究する基礎資料として優れた条件を具備している広域アレ-による岩盤強震アレ-観測観測、すなわち、岩盤強震アレ-観測委員会(表俊一郎委員長)により埼玉県の東松山及び小川、茨城県の大洗、千葉県の銚子及び館山A・館山B、伊豆半島修善寺、の7サイトの硬質地盤における合計21観測点63成分のアレ-観測により1979年以降十年余にわたり蓄積してきた膨大な地震動加速度記録の中から、周期2秒以下の短周期成分について充分信頼できる305地震による4966成分の加速度記録について時刻歴解析を今年度までにその都度実施し、デ-タベ-スの構築を計ってきた。 2.これらの解析資料のうち、主として実体波が支配的とみられる短周期地震動(本研究ではT=0.1秒〜1.0秒に対象を絞る)の水平成分について周期領域における距離減衰式を作成し、距離減衰項に関わる回帰係数から、下式の如く周波数の0.73乗に比例するQ値の経験式を関東地方の平均な距離減衰式として提案した。 Q(T)=170・T^<ー0.73>(但し、Vs=4km/secとした場合) これは、例えば科学技術庁防災科学技術研究所の関東東海地域における地震予知観測網によるデ-タを用いて佐藤(1986)が求めた結果とおおよそ符号するものであることを確認した。 3.次に、これより得られた地震動水平成分の周期領域における回帰式を、関東東海地域の地殻・上部マントルを対象とした平均的距離減衰式として用いることにより、関東東海地域における距離減衰の3次元的地域特性を各震源ゾ-ン毎に検討し、伝播経路の相違による影響についてその特性を抽出した。
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